疼痛(とうつう)とは痛みを示す医学用語であり、ここでは痛みの医学、生理学的な側面を記述する。
[編集] 疼痛の定義
物理的刺激、あるいは疼痛物質(セロトニンやブラジキニンなど)による化学的な刺激を疼痛神経終末端が感知し、電気的なシグナルに変換し温痛覚求心経路である外側脊髄視床路を通過し、大脳の中心後回が痛みとして認識した結果を疼痛という。痛みを伝える末梢神経にはAδ線維とC線維の2つの神経線維が知られている。伝導速度はAδ線維の方が速いため、腕を叩いた時の痛みははじめに局在が明確な鋭い痛みが伝わり、後から局在が不明確なじんじんとした痛みを感じると説明されることがある。この現象から痛みは二度感じると言われることがある。この遅い痛みであるC線維を軽度かつ持続的刺激を行うと痒みが生じる事が知られており、そのため、生理学的には痛みと痒みは同じ感覚とされたが、痒みは頭頂葉内側部の楔 前部による独自のメカニズムで覚えられる[1]。
[編集] 疼痛の分類
痛みは4-6週間以内持続する急性疼痛と4-6週間以上持続する慢性疼痛に分類される。痛みという感覚が何故存在するのか。その合目的的な説明に多くの生理学者は悩み続けてきた。現在は痛みは危険を知らせるシグナルとして有用と考えられている(無痛無汗症の患者が痛みを感じないがために無理な姿勢や外的接触による骨折、皮膚の深い損傷、皮膚の化膿、関節障害、骨髄炎等通常では考えられない怪我を頻繁に繰り返し、怪我や骨折はもちろん虫垂炎、腹膜炎等の内臓の病気も見逃される等生活するにあたって様々な不都合がある事からも窺える)。しかしこれは急性疼痛のみで有効な考え方であり、慢性疼痛では痛みの原因と考えられる危険が全く存在しないことも多々あり、痛みがそれ自身で疾患として振舞うことがあり痛みを� ��じなくすることが治療となることもある。こういったことは緩和医療の分野で詳しく研究されている。
急性疼痛は体性痛、内臓痛、関連痛の3つに分類されている。以降に体性痛と内臓痛の違いを記述する。
| 体性痛 | 内臓痛 | |
|---|---|---|
| 性質 | 鋭い | 鈍い |
| 局在 | 高い | 低い |
| 神経線維 | Aδ線維 | C線維 |
| 神経経路 | 新脊髄視床路 | 旧脊髄視床路 |
| 修飾 | なし | あり |
要するに、痛む部位を尋ねて、はっきりとここが痛いと言うことができ、腹部所見がそれを証明できれば体性痛ということとなる。痛む部位がはっきりせず、また痛む部位をさすったり(Aβ線維刺激)、ほかのことを考えること(心理的刺激)で軽快をしたりする修飾効果があれば内臓痛と考えればよい。
関連痛は実際に障害されている部位と異なる部位の表面が痛くなるような現象である。性状としては内臓痛に近く局在は明確でないことが多い。心筋梗塞で肩に起こる関連痛が有名である。この場合は肩自体の痛みと区別する方法は運動痛の有無と可動域制限の有無を調べればよい。本当に肩が障害されていれば、肩を動かせば痛みは変化するし、肩関節が障害され関節可動域は狭くなるはずである。
- 整形外科の領域で注意すべき関連痛
- 肩:心筋梗塞、狭心症、大動脈解離、大動脈破裂、胆嚢炎、横隔膜膿瘍
- 耳鼻科の領域で注意すべき関連痛
- 咽頭:心筋梗塞、狭心症
疼痛評価法として臨床的に最も用いられる指標にフェイススケール (Visual analogue scale) がある。
[編集] 末梢神経についての補足
生理学の神経分類を用いたのでここで神経線維について記述する。診断学で応用可能なように簡略化したのでより詳しくは神経線維を参照。
| 分類 | 髄鞘 | 平均直径(μm) | 平均伝導速度(m/s) | 役割 |
|---|---|---|---|---|
| Aα | 有 | 15 | 100 | 位置覚、運動線維 |
| Aβ | 有 | 8 | 50 | 触覚、圧覚 |
| Aγ | 有 | 8 | 20 | 位置覚 |
| Aδ | 有 | 3 | 15 | 温痛覚 |
| B | 有 | 3 | 7 | 自律神経 |
| C | 無 | 0.5 | 1 | 交感神経、温痛覚 |
また感覚線維では次の分類を用いることもある。これは分類の仕方の問題で別物ではない。
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